庄福Bサイト                                                 H25・11・14製作   福岡県みやま市高田町・荒木精蝋工場平成25年5月見学



 江戸時代から、筑後地方で多く生産されていた木蝋(もくろう)は、ハゼの実を蒸して、布に包んで、玉締め式圧搾機で搾り出していた。昭和30年(1950)頃までは、多くの木蝋製造業者がいたが、安価な石油製品に押され、廃業に追込まれ、絶滅危機の業種となった。みやま市高田町にある荒木精蝋は、嘉永(かえい)3年(1850)から、木蝋つくりを続ける日本で唯一の製蝋会社であり、江戸時代の製法から、近代的な製法に転換し、現在、木蝋生産、日本一を(ほこ)っているが、木蝋を取り巻く環境は、(需要の減少もあるが、ハゼの実の収穫も減少している)年々厳しくなっている。市民団体「みやまいいまち会」は、自然系「木蝋」の魅力(みりょく)を市内外へ発信するため、荒木製蝋と連携し、子どもから大人まで、工場見学のおりの「和ろうそく作り」や、道の駅みやまでの「和ろうそく作り体験教室」などを開いている(.)また、「和ろうそく企画展」、和キャンドルナイトなどを開催している。また「木蝋」通し、佐賀県三養基郡みやき町の「中原の自然を守る会」や「朝倉(はぜ)フォーラム」などとの交流も始まっている今年も季節は、晩秋から初冬にり、筑後平野は、ハゼ並木が紅葉し、北風が吹き始める頃から、ハゼの実の収穫が始まり、冬の風物詩となる(.)

 

 
荒木精蝋合資会社  工場内の櫨の木   精蝋工場
@水俣・島原・佐賀・地元などから入荷した櫨実  Aハゼの実の収穫期に1年分の実が倉庫に貯蔵 B原料から選別機で実と枝を分け・実は隣の粉砕機へ 
昭和28年まで使用していた玉締め式圧搾機(油圧式)

蒸し器で蒸した櫨実(はぜみ)を熱いうちに布に包んで
玉締め式圧搾機で搾って蝋を搾り出していた
C実を粉砕して皮と種にし抽出缶に送られる  D選別された実・重量の2割の木蝋が抽出できる (参考資料)
 
E粉砕した実を充填し・溶剤を注入し・蝋を抽出する F抽出缶の圧縮機・蒸気機関車と同じ原理     G残渣(ざんさ)(残りカス)は横の口から
  出され燃料・藍染用・肥料に使われる 
H蒸留缶で蝋を抽出した溶剤を加熱して溶剤と生蝋に分離し生蝋は貯蔵タンクへ・溶剤はコンデンサーで回収 I木蝋のタンクから固まらない様に少しずつ出して
次の工程へ(絞られた原液は真っ黒) 
J固めるために、この茶碗に小分けして冷す  
K茶碗で冷えて出来た木蝋 和ろうそく等のの材料に、木蝋を使用する場合もある L木蝋から白蝋を作る為に加熱して、さらに溶かす 
M溶かした木蝋を木型に入れて冷やす  N木型の木蝋をカンナで粉砕する  O粉砕した木蝋(茶色)をビニールハウスで天日干し 
P1〜2か月ほど天日干しされ漂白した白蝋に変化  Q白蝋を溶かし臭いや不純物を除去  
 真空装置や遠心分離機を通し抽出
R遠心分離機から出した白蝋の一部は
着色し、色ろうそくの材料としても出荷される
 
S精製した白蝋は再び型に流し込み冷やされる   型から出された白蝋・日本向け(左)とドイツ、中国向け(右)
梱包された白蝋は主にドイツに輸出されている 

  製品の白蝋は化粧品のポマード・口紅・クリーム・眉墨(まゆずみ)や医薬品の軟膏・硬膏・坐薬(ざやく)・乳剤・外科包帯材や文具のえんぴつ・カーボン紙・クレヨン・クレパスなどの材料となる。また光沢・仕上剤として家具・皮革(ひかく)・自動車・紙・菓子・繊維・ロープに使用されています。
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